ONE2〜永遠の約束〜  BaseSon


1998年5月29日。
日本中のヲタクが泣いた。

「うおおおおお! 茜、可愛ぇぇぇぇ!」
「俺も盲目少女とLet's Lovin'!!
「七瀬に殴られたい!
みゅー! みゅー!
「スケッチブックなどに頼らずとも、君のメッセージは届いてるさ!」
関節ロック! 関節ロック!

当時、俺にとってのエロゲーは、エロ漫画と大差ない認識でしかなかった。
言ってみれば、アニメの延長線上。可愛い女の子の絵柄に、それを引き立てるストーリー。しかし、どこかで恋愛シミュレーションというものを達観して見ていたあの頃。
達観というよりは、客観だろうか。
モニタ上の女の子に本気で恋などできるはずもなく、ただ頭でストーリーを追って、アニメを鑑賞するのと何ら変わらない感覚でしかなかった。 だがある日を境に、俺の中で価値観が一変する。

1998年。5月29日。 「ONE〜輝く季節へ〜」というゲームが発売された。
Tacticsのゲーム自体は初めてではなかった。実を言えば、「同棲」の頃からプレイしている。 「同棲」は友達に「このゲームが最近気になるんだよ」と薦められて買ったのだが、
今にして思うと、彼は第一印象でいたる絵に萌えていたのである。そして直感的に購入に至ったも。
どうかしていた。あの頃は。
それはともかく、「ONE〜輝く季節へ〜」である。
俺は最初、このゲームには何の期待も抱いてはいなかった。
前作の「MOON.」がいまいちパっとしなかったせいだろう。確かに良いゲームだと思うが、どうしてもその当時流行っていた「エヴァンゲリオン」のパクリ的な印象を拭い切れなかったのである。
何より、Leafの「To Heart」がブレイクした直後である。
今度はその手の正統派恋愛アドベンチャーできたか、と雑誌のゲーム紹介を見て思った覚えがある。
それでも俺は、発売日にバイトの休みを取って買いに走った。
直感めいた何かに突き動かされていたのだろうか。一刻も早くプレイしたかったわけでもない。ただ、何かに後押しされたかのように、俺は走った。
そして目的の場所に辿り着き、店頭に張り出された一文を見て愕然とする。
「5月22日発売予定のONE〜輝く季節へ〜は5月29日に延期されました」 ……この頃から彼らの延期癖は芽吹いていたようである。
気を取り直して、翌週に無事購入。
実際にプレイしたのは、それから三日ほど経ってからのことだった。
今でも覚えている。夕方の5時頃から始め、夜の11時に一人目(澪)を終わらせた。
画面がタイトルに戻り、俺は頬を濡らしているものに気づいた。
涙である。
それが、俺の中に「エロゲーで泣く」という概念を植え付けられた最初の瞬間だった。

何気ない学園生活。
女の子たちとの楽しい会話。
なかなか出てこないエロシーン。 主人公に起こる異変。
それぞれのヒロインたちの過去と、心の傷。
次々と、親しい人たちから忘れ去られていく主人公の存在。
その中で唯一、ヒロインの子だけが自分のことを覚えていてくれたという安心感と嬉しさ。
始まったと思ったらマッハで終わるエロシーン。 絆を深めたヒロインとの、残酷な別離。
主人公のことを待ち続けるヒロインの心理描写。
そして再会できたことを、プレイヤーである自分が何より嬉しく思うその気持ち。

何もかもが新しくて。
張り裂けそうなほど胸が苦しくて、切ない。
そんな気持ちにさせてくれたゲームだった。
気になった俺は、ネットでTacticsのホームページの掲示板を閲覧した。
するとそこには俺と同じ、「エロゲーに感動させられた」人々が熱い思いを書き綴っていたのである。
それは圧倒的な共有感であった。
俺たちは同じものに触れ、感動し、泣いた。その事実がますます心を熱くさせた。
この瞬間、エロゲーは「作品」へと形を変えていった……。

恐らく、このゲームをプレイしたせいでヲタク業界に呑み込まれていった人も少なくはないだろうと思う。
当時ではダントツに斬新なゲームであったと思うし、それ以降の他社メーカーの製品にも同じような要素が取り込まれていったのも事実である。
多くの者にとって、この作品は「良き思い出・最強の名作」として今も心の奥底に根付いているに違いない。
そんなヲタク業界の一斉を風靡したゲームの続編が、数年後に発表されることになる……。

知っての通り、現在のTacticsに「ONE〜輝く季節へ〜」を制作した中枢のメンバーは残っていない。
彼らは新ブランド、Keyを設立し、「ONE」の正統進化系とも言える「Kanon」と「Air」を発売し、今も多くのヲタクたちの心をつかんで離さない。
対してTacticsは、当時のメンバーが抜けたせいもあってか、それ以降の作品はあまりパっとしない状況が続いた。
もちろん胸を張って良作と呼べる作品もあっただろう。
しかし、そこにはどうしても「ONE」との比較が生じてしまう。
「久弥・麻枝のいないTacticsはこの程度か」という認識が常に付きまとっていったのである。
上記は俺の偏見かもしれない。だが、そう思ったユーザーは決して少なくはないだろう。
そんなある日、Tacticsの大元会社であるネクストンから、新たなブランドが誕生した。 それがBaseSonである。
彼らは同時に、全世界に向けて「ONE2」の制作を発表したのだ。
ヲタクたちはマッハで激怒した。

「結局はお前らも過去の栄光にすがるのかよ」
「ONEの設定を使えば安易にプレイヤーを泣かすことができるとでも思ったのか?」
「どうして自分で自分の首を絞めていることがわからないんだ?」
「お前らがやろうとしていることはエンターテインメントでもなんでもない。ただの自主性の放棄だ」
ボ、ボ、ボ、ボキのオ、オネを汚すなぁぁぁ!!

批判。
批判の嵐が飛び交う。
誰もが理解に苦しんだ。
BaseSonがやろうとしていることは、傍目から見れば愚行にしか見えなかった。
シナリオを誰が担当するかもわからない。
音楽は? 原画は?
すべてが不明瞭なまま時は流れ、ホームページや雑誌上で大々的に原画担当オーディションの告知が張り出された。
日本中のヲタクたちがこう思った。

「ハァ?(゜д゜)」
と。
つまり、一般の中から原画を募り、その中から決めてしまおうということである。
現役のプロからではなく、恐らくは原画未経験者のアマチュアから選出しようというその発想に、誰もが呆れたことだろう。
「ONE2」を作る以上、前作を超えることは命題であった。
下手をすれば、両刃の剣。輝くほどの才能を持った原画に出会える可能性もあれば、その逆の原画しか集まらない可能性もある。
もしいたる絵以下の原画しか集まらなかったら?
……そう考えた途端、誰もが安堵の息をついた。
「あれ以下なんてあり得るはずがないさ! アヒャ!」 これは激しく俺の偏見であることを追記しつつ、原画オーディションは静かに幕を閉じていった。
そして採用された原画がコレ
日本中のヲタクたち発狂。 目も当てられない状況へと陥ってしまう。
それからしばらくして、さらに詳細な製品情報がホームページに載ることになる。
そこにはまったく別人と化したキャラ絵があった。
原画家採用からデザイン最終案決定までに何があったのか、非常に興味深い。
デモムービーも公開され、反応は上々。ホームページ上でマスターアップの告知もされた。
今年の4月に原画の片桐雛太さんのサイン会(これについては下記にて詳細を記す)も開催され、すべてが順風満帆かに見えた。
そして2002年4月26日。
「ONE2〜永遠の約束〜」が発売された……。


今回で8回目のゲームレビューになります。
TYPE-RXの寄生虫、BBBです。もよろしくお願いします。
今回は今年最大の問題作とまで言われた、「ONE2〜永遠の約束〜」です。
冒頭で書き殴った通り、このゲームが発売されるにあたって背負わされた命題は非常に重いです。
それは、「前作を超えること」。
まがりなりにも続編、「2」を名乗るなら当然のことだと言えます。
普段、ゲームレビューではなるべく他のゲームと比較しないようにしているつもりですが、今回だけは評価するにあたって、比較することが前提であると判断したので、その方向で進めていきたいと考えています。
ちなみに前作の俺内部の点数は下記の通り。


総合 シナリオ グラフィック サウンド 萌え度 永遠
95点 98点 65点 92点 90萌 100点
そして、下記がONE2に対するプレイ前の期待度。

予想総合 シナリオ グラフィック サウンド 萌え度 永遠
70点 75点 80点 80点 75萌 50点

さて、結果どうなったのか。
それはこのレビューの末尾にて。

○システム
おなじみのNScripterです。
かなりカスタマイズされていて原型を留めていません。
2chの購入検討スレのレビューを読んで初めて気づきました(笑)
最初、音楽のイントロが繰り返されるバグに見舞われましたが、修正パッチをあてることで回避できました。
既読スキップがない点を除けば、普通のシステムだと思います。

○シナリオ
文章が非常に上手い。これには正直、驚かされました。
技術的にはこちらのが上ですが、ところどころ前作の前半のギャグノリを模倣しようとしているところが見事に外しまくっています。
いきなり主人公が「俺は実はスーパーエージェントなんです」とかのたまったときは、やべっ、踏んだ!と思いましたが。
主人公の心理描写の上手さに惜しみなく拍手を贈りたいです。
ただ致命的な欠点として、前作の重要なキーワードであった「永遠」に関する説明がほとんど無いのが悔やまれます。
全体的に前作をプレイしたことがあることが前提となった構成になっているため、ONE2からプレイされた方はさぞや戸惑ったことでしょう。
永遠に消えてしまうのが前作とは異なりヒロイン側であるため、主人公の一人称形式で進行していく構成的に説明が困難なのはわかりますが……。
この世界から消えてしまうという危機感や兆候がほとんど表現されていないせいで、後半はもどかしいほどにあっさりしています。
このあたりを改善できていれば、もっとテキストが映えたと思うのですが。非常に残念です。
総プレイ時間は20時間程度。
共通ルートが短いので、少し長く感じるかもしれません。

○音楽
どことなく前作を模倣したような曲が多い印象を受けます。
それでも曲のレベルの高さは、かなりのもの。
中でもピアノの音色が多く使われた曲の完成度が高く感じられます。
前作から三曲ほどアレンジされたものがありますが、これも非常に良いです。
特に「雨」は、思い出し泣きしてしまうほどでした(^-^;
主題歌は初回特典に収録されているロングバージョンより、本編で流れるショートの方が好きです。
最後のピアノのフレーズがお気に入り。

○CG
雛たん、ハァハァ(;´Д`) ……とても可愛い絵をお描きになられます。一部、某有名妹キャラにそっくりな子もいますが。
CGの出来もとても綺麗で、ONEの世界観にぴったりだと思います。
前回のレビューでもちょろっと書きましたが、俺は4/12に行われたサイン会に参加したんですよ。
大阪日本橋にあるソフマップ二号店の6階(7階だっけ?)のイベントスペースでやっていたんですが、そこで俺はある意味、予想通りというか、残酷な光景を目の当たりにしました。
その日のサイン会は、「三大女流作家合同サイン会」という名称で、他には「女教師二十三歳」「忘レナ草」の原画家さんがいらっしゃっておりました。
左から「女教師」「忘レナ」「ONE2」と並んでいたわけですが、各作家さんの前の人口密度の比率はなんと3:7:0
マジで誰もいないんですよ。ONE2のブースの前に。
ONE2の予約券にハンコを押してもらい、ゆっくりと中へ進む俺。
いろんな意味で心臓バクバク。
「ありがとうございます! あなたがサイン第一号です!」だとか、
「え、え、えっ!? ほんとうに私なんかのサインで良いんですか!?」
とか言って泣かれたらどうしようと本気で不安でした。
実際に前に立ってみれば、なんのことはなく普通にサインしてくださいましたけども。
その瞬間、俺は決意しました。
俺は雛たんのために、何がなんでもONE2を買う、と。
その日発売で、購入を予定していた「忘レナ草」も、雛たんに操を立てる意味で回避。 あのときの雛たんの目は、捨てられた子犬のそれと同じに見えたのです……。

余談:その後、友達や掲示板の情報から、俺が行く少し前にONE2のブースの前にかなりの列ができていたことを知らされました。
   良かったね、雛たん……よかったね、よかったね。

コンプリート後レビューへ行く前に、+ 激しく警告 +
今回は確実に妄想SSが飛び交います。気分を害されたなら、すかさずブラウザの戻るボタンをクリックしていただけますよう、お願い申し上げます。


コンプリート後:レビュー


※例によってネタバレ風味。未プレイのおにいちゃんは注意だよっ♪
今回はクリア順の感想形式です。
上記にも書いている通り、どこで俺が妄想を始めるかわかりません。お気をつけください。

○香咲 乃逢
もしかしたら彼女は最初にクリアしない方が良かったのかも。
他キャラとの違いとして、彼女は「永遠」に消えません。
唯一、それらしい兆候が表現されていたキャラなのですが、クライマックスで主人公が乃逢の永遠行きを阻止します。
「なんじゃそりゃ!?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、テキストの上手さがそれを帳消しにして余りあるほど感動的に仕上げています。
走ることが存在理由だった彼女にとって、一生治らないかもしれないと言われた足の怪我は世界の終わりを意味していました。
結果、彼女は永遠の世界へと誘われます。
いつまでも、ずっと走っていられる、そんな永遠を願って。
彼女が主人公と共に見つける「新しいこと」が何なのか。想像は膨らみます。
人生はきっと、変わっていけるからこそ楽しいものなのでしょう。

○深月 遙
お前、萎えにゅ。
よりにもよっての名を冠していることが許せません。
遙ってのはな! 遙ってのはもっとこう…………
遙「見て見て! 実は私、ピアノが弾けるんだよ!
俺「マジすか! どれ、聴かせてくれないか。遙の音色を
遙「じゃあ歌いながら弾いてあげるね。ちゃんと聴いてくれなきゃいやだよ?」
俺「Oh,yes!!
遙「ねこふんじゃったー♪ ねこふんじゃったー♪ ねこふんじゃっ、ふんじゃっ、ふんじゃったー♪
俺「……………………」
遙「ねこふんじゃ……あれ? どうしたの、難しい顔して?」
俺「なぁ、その猫ってとこ……『りょうくん』に変えてみないか?
遙「えっ?」
俺「いや、なんつか、こう……何かが満たされそうな気がするっつーか
遙「う、うん。じゃあそうしてみるね」
俺「頼む」
遙「りょうくんふんじゃったー♪ りょうくんふんじゃったー♪ りょうくんふんじゃっ、ふんじゃっ、ふんじゃったー♪
俺「お! おおお……」
遙「りょうくんふんじゃったー♪ りょうく……うぐっ!?
俺「ど、どうした!?」
遙「はぅぅー……ひたはんひゃったよぉ〜……」(舌かんじゃったよぉ)
俺「見せてみろ……血が出てるじゃないか」
遙「やーん! ひたいよぉ〜!」
俺「OK! 俺が恋の処方箋をくれてやろう!
遙「え、え? む、むぅぅ〜!」
←+ 激しくディープキス +
れろっ、れろっ、ぴちゃ……。
遙「はぅ、ひぁぁ……ふぁぁぁぁぁぁ……
以下略、っと(爆)
つまりこんな感じなんだよ!
この遙はまるで萌えがなっちゃいない!
……でもシナリオは良かったです(爆)
深月先生(誇張)が消えてから、まるで絆をたぐり寄せるように先生が弾いていたピアノの曲を練習し始める主人公。
彼女にとっての存在理由は、ピアノがすべてだった。
小さな頃から練習を続けてきて、努力を重ねてきた彼女。
コンクールで天才の壁というものに阻まれ、彼女はピアニストになる夢から逃げ出しました。
そして自分の夢を託すために教え子の麻生久遠にピアノを教え続けるも、過去に逃げ出したことがバレて自分のすべてを否定されてしまう。
それが原因で、彼女はこの世界での居場所を失ってしまいます。
彼女を世界につなぎ止めたのは、主人公の下手くそなピアノの音色。
技術なんて関係ない、誰かのために聴かせたいと思う気持ち。そんな音色が、彼女を永遠から解放しました。
……でも永遠から帰って早々、主人公とセックスしたがる神経だけは絶対どうかしてると思う。

○麻生 久遠
なんでこの子にEDが無いんでしょう……。
間違いなくONE2の最萌えキャラ。 「天才だからね! あったりまえ〜♪」
「貴島ク、こんちゃ!」

数々の萌えワードが俺の心をつかんで離さない。
暴力的なところも非常にイイ!!(・∀・)
久遠に罵られたい、蹴られたい、チョップされたい、俺のカラダをピアノに見立てて指を這い回されたい……。
俺「ああ、久遠さん……そんなところを触っちゃ……あっ
久遠「天才だからね! あったりまえ〜♪
俺「もっとそこを踏みにじってくれ……もっと強く!
久遠「天才だからね! あったりまえ〜♪
俺「チョップは斜めじゃなくて垂直にこう! う、おおお……いいっ、いい……!」
久遠「天才だからね! あったりまえ〜♪
俺「もっとこう、ピアノを弾いてるときみたいに無表情で俺を罵ってくれ!」
久遠「む〜! バカにしたなぁ〜♪ ちょーっぷ!
久遠たん久遠たん久遠たん久遠たん久遠たん久遠たん……(ぶつぶつ)
なんで久遠たんのEDが無いのか小一時間雛たんを問い詰めたい!(お門違い)
そして雛たんの口からとんでもない言葉が!
※これ以上はさすがに問題がありそうなので割愛させていただきます。

○小菅 奈穂
別名、本田と





あれ?
まぁいいや。
とにかくこの子もむっちゃ可愛いです。
丁寧な言葉遣いがまさに





孤児院でですね、子供に「おにいちゃんはおねえちゃんのこいびとなのー?」と言われるシーンで、奈穂が早口でメッセージウィンドゥを埋め尽くす勢いで喋るのが激萌えです。
時々「はぅ〜」とかゆったりしてもう最高!
こういう子に俺が望むことはですね、スカートの中に潜ることだったりするわけですよ。
奈穂「ひ、ひゃあぁぁぁ……! な、なにをしてるんですかぁ……!」
俺「いや、あったかいかなーと思って
奈穂「な、なるほど。確かにスカートの中は暖かいかもしれませんねっ……」
俺「できればもっと奥に行きたいな
奈穂「え? わ、わわっ!? そ、そんなところ、おっきなおにいちゃんは立ち入り禁止ですーっ!
俺「やってみなければわからないだろう
奈穂「ひぁぁぁぁぁぁ……」
抱きしめると柔らかそうな女の子大好きですよ。
三次元の女は固そうでいけません。
やっぱりお尻の形がすべてだと思うわけで。揉みしだき甲斐のある尻こそ二次元キャラの真骨頂だとここに高らかに宣言したい!
そしてこのキャラは唯一、外出しでもある。
それには何かの意味があるはずだと俺は信じて疑わないわけですが。
シナリオは、そうですね。及川がいい味出していました。
全シナリオ中、最も主人公がヒロインのことが好きになっていく描写が上手く表現されていたと思います。
母親との再会の約束。破られた約束をいつまでも引きずって、奈穂は幻想の世界へと逃避していました。
頑張っていればいつか必ず母親に会える。それだけを信じて無理をし続ける彼女は痛々しくもあり、健気でした。
もう母親とは二度と逢えない。約束なんて最初からなかったんだと。
それを理解したとき、奈穂は永遠へと誘われました。
奈穂と同じ思いを抱いて、彼女のことを待ち続ける主人公の心理描写に涙。
肝心の帰還のシーンがあっさりしすぎていて少々拍子抜けしましたが……。
とにかく惜しいシナリオでした。あと一歩というところで、演出不足が際だってしまいました。

○望月 綾芽
「和宏とずっと一緒にいたわ。何か文句がある?
惚れたッ!
綾芽たんかっこよすぎー! イヤッホー!
……はい。いわゆるATフィールド系キャラです。
最初は主人公に対して素っ気ない態度ばかりの綾芽たんですが、じわじわと心を開いていきます。
全シナリオ中で、唯一前作の「みさお」の話が出てきます。
何やら伝承的な扱いになっているのが気になりましたが、前作をプレイしている身としてはにやりとさせられましたね。
綾芽が物語の続きを語り、「おにいちゃんは永遠の世界へと消えてしまうの」と締めますが、プレイヤー側としてはその話の「続き」を知っているわけでして。
「嫌でもお前に絆ってものを教えてやるぜ! Hey! repeat after me!?
ってなもんです、はい。
彼女と主人公の共通点は、彼女の姉の存在でした。
望月幾美のことを主人公が知っていると綾芽が気づいたあたりから、彼女に変化が始まります。
なんといいますか……心を開いた後の綾芽の可愛いこと可愛いこと。
照れた顔が可愛いんですよ! 照れた顔が!
なんで君のほっぺたはそうも赤くなるのか! あと一歩で俺にとっての永遠の命題となるところでした。 「……知らないっ」って感じで、ぷいっ、とそっぽを向くんですよ。
あーもう、たまんねぇな、ちくしょう。
久しぶりにゲームやってて悶絶しました。
ですが、クライマックスの急展開が何もかもを台無しにしてしまっているように思えます。
ED自体は決して悪くないとは思うんですが、綾芽が再び態度を変えるまでの時間が短すぎるように思えます。
もうあと数日間ほど、綾芽とのバカップルぶりを見ていたかったなぁって(^-^;
結局、彼女は永遠の世界へ消えてしまった幾美のことを忘れてしまうことを恐れ、主人公を拒絶します。
自分が忘れてしまったら、幾美の存在は本当に消えてしまうと苦悩して。
「あなたの優しさは、私を壊すの」
そう言って、彼女は永遠の世界へと消えてしまいます。
唯一、EDで主題歌が流れるキャラでもあります。
なんで全キャラそうしなかったんでしょうか?
クライマックスであの歌声は反則ですって。

○芹沢 心音
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
攻略可能なキャラでは恐らく最萌え。そうでなくても久遠に匹敵しかねない萌え度を誇るのが心音たんです。
全国のおにいちゃん属性のみなさま、お待たせいたしました。ってカンジ。
そしてお気づきでしょうか。全キャラで、この子だけが唯一、ソックスが膝上まであるのです!
膝上数センチ。この部分はいつしか神の領域と呼ばれ、崇められてきたわけですが、Hシーンでもソックスを装着したままという、この子の内面に潜むおにいちゃん殺しの魔性の血が俺を勃起させて離しませんでした。
ある日、通学路に佇んでいる彼女を見かけるのですが、目があったら即フォーリンラヴ。
数日後には主人公の教室に押し掛けて、ラヴラヴトークが展開されます。
そしていつの間にか主人公のことを「おにいちゃん」と呼ぶようになります。
口調も敬語からちょっと頭の足りない妹言葉へシフト。
その後の萌えシナリオは思わず気が狂ってしまいそうでした。

ある日、授業中に心音のことを考えて、まるでプレイヤーの前に鏡を置いたかのようににやける主人公。
「何か楽しいことでもあったのか?」と言う先生に、主人公は
「ただの妄想ですからお構いなく」と言ってのけます。
その瞬間、俺は悟りました。
貴島和宏はであると。
新世紀の妄想フィーチャー。それが彼という男なのです。
心音「おにいちゃん、何か嬉しいことあったの?」
俺「いや、ただの妄想だ。気にしないでくれ」
心音「もうそう……? なに? なに考えてるの〜? 心音にも教えてほしいな」
俺「知れば不幸になる。きっとお前は俺のことを幻滅するだろう……」
心音「それでもおにいちゃんのことだもん。おにいちゃんと同じことを考えて、悩みたいな……
俺「正気か!?
心音「ふぇっ!? な、なに?」
俺「知ればきっと、これまでの世界は音を立てて瓦解するだろう。それでも知りたいか?」
心音「うん、心音、しりたいな」
俺「なら目を閉じるんだ」
心音「うん……きゃっ! いきなり抱きしめるなんて、ど、どうしたの?」
俺「こうすれば伝わりやすいんじゃないかと思ってな
心音「そ、そうなんだ……」
俺「俺の心臓の音が聞こえるか?
心音「うん、聞こえるよ」
俺「その回数だけ、俺はお前の中で動いている
心音「え? えっ?」
俺「時には器具も使ったりするぞ。お前が恥ずかしくて嫌がった行為も、当たり前のように行われる……」
心音「や、やだ、おにいちゃん、やめてっ……」
俺「だが、お前はそれを嫌がっていない」
心音「え?」
俺「むしろ求めてくるんだ。さぁ、委ねるんだ。心音
心音「わかったよ、おにいちゃん……
俺「今、お前はどこに触られている?」
心音「うん……心音の大事なところ……おにいちゃんのあったかい指が……心音をいっぱい、いっぱい恥ずかしい気持ちにするの……」
俺「そうだ。こうしてただ抱き合っているだけでも、お前はそれを感じることができる。これがどういうことかわかるか?」
心音「わ、わかんない……」
俺「これが妄想だ
心音「これが……?」
俺「たとえ相手に触れることができなくとも……どれだけ遠くとも、心の中ではどんな行為も思いのままだ。妄想の世界では誰もが自由になれる。お前は今、俺の世界を共有しているんだ」
心音「おにいちゃんの……世界……」
俺「そう。今、お前は俺の上で淫らに上下に動いている。わかるか?」
心音「うん、わかるよ……きゅう、きゅうーっ……って、おにいちゃんのをつよく、つよく……」
俺「どうした?  足が震えているぞ?
心音「はいっ、心音はおにいちゃん妄想を感じて、生まれたての子鹿のように震えていますっ……!」
俺「行くぞ。今から、俺の妄想がお前のすべてを凌駕する
心音「ひぁぁぁっ、おにいちゃんっ、きてっ、心音の心の中にたくさん来てぇ……!
……なんかエロSSになってきたんでここらでやめ(爆)
プレイ中に何度悶絶したか、数え切れません。
主人公は、幼い頃に心音と交わした約束を忘れていて、それが心音を深く傷つけます。
心音の心は、最初から最後まであの頃の……約束を交わした頃のままだったのです。
現在の心音は存在しない……ずっと昔に消えてしまった存在なのだと。
約束は彼女にとっての盟約であり、それが彼女を永遠の世界へと誘います。
それから月日が流れ、心音は再び主人公の前に現れます。
約束を交わしたあの頃と同じ姿。
最後の瞬間に心音に渡した人形を持って。
永遠の中で、彼女が願ったのは約束を交わしてから主人公と再会するまでの数年を取り戻すことだったのだと俺は解釈しました。
または、彼女は最初から永遠の中にいたのか。
永い時を超えて再会した二人を、心から祝福したいと思う……。
つーか。
ジャングルジムから落ちたショックで約束を忘れていた主人公の頭をかち割りたいと思ったのは俺だけですかね?

○総評
さて、このゲームが「ONE〜輝く季節へ〜」を超えられたかどうかというと……。
残念なことに駄目でした。
ですが、これはこれで完成された作品だと思います。
前作の世界観を引き継いで、その中でオリジナリティを求めようとした点は評価に値します(乃逢や心音ED)。
ここで前作のテーマを思い出してください。

※以下、タクティクスのHPから引用
 タクティクス通算3作目となる本作は、心に届くAVG第二弾と銘打つ、恋愛アドベンチャーゲームです。
 前作とは再び装いを一転させますが、その肩書き通りのテーマ性を持ち合わせた作品です。
 本当の日常から生まれる、かつてないほどの恋愛の”せつなさ”、そしてその先にある、大切な思いを
 感動と共に届けます。
 もし、受け止めて頂けたら幸いです。

「心に届くAVG」
「せつなさ」
プレイし終えて、ONE2にはこの二つが欠けているように思えました。
クライマックスの急展開さや、永遠の世界、大切な人のことを忘れるせつなさの表現不足。
それらが招いた結果だと思いました。
せっかくこれだけの文章力があるのに、このあたりがおろそかになっていたのは非常に惜しいと思います。
主人公の側にいたい。それなのに、この世界から消えてしまわなければならないことへの苦悩。
ヒロイン視点で、少しでもこういったことを描写していれば大分変わったのではないかと思われます。
全体的に見て、かなり惜しい作品。
ほんと、あと一歩でした。


1998年5月29日。
日本中のヲタクが泣いた。
「ONE〜輝く季節へ〜」
このゲームが起こした衝撃は、人の心を動かし、時には変革をもたらし、瞬く間にアダルトゲーム業界の波となった。
多くのヲタクたちが、今も熱くこのゲームについて語っている。
言葉の数だけ、涙が流れた。
この作品を愛しているからこそ、今も彼らの情熱は続いているのだ。
そしてそれは、「ONE2〜永遠の約束〜」を制作したスタッフたちにとっても同様なのではないだろうか。
彼らが愛した世界を、永遠のものにしたい。 「ONE2」には、そんな彼らの願いが込められているような気がした。
             
総合 シナリオ グラフィック サウンド 萌え度 永遠心音久遠
90点 80点 85点 92点 95萌 60点妄想臨界点突破天才


※余談
1998年12月。
ブライトシーズン2というイベントが大阪で行われた。
俺にとっては初の同人誌即売会。
そこで俺は、普段ネットの掲示板でしか見かけることのない名前の人と実際に対面する。
思えば、あの頃から運命の歯車は回り始めていたのかもしれない。
というか俺がヲタクになったのはお前らのせいだ(爆)

来たる2002年6月1日。
再び大阪が、妄想都市へと姿を変える……。