SNOW
Studio Mebius

某月某日、スタジオメビウスの新作「SNOW」の情報が各エロゲ雑誌に掲載される。
俺「待てコラ。まんまKANONじゃねーかよ!」
連れA(以下A)「ていうかこれはみつみ de KANONやろ」
連れB(以下B)「こいつはあれやな、ぴろの2Pカラーやな」
俺「確かに、色々パクったと思われるキャラが勢揃いな中、こいつだけが一際ヤバい雰囲気を醸し出してるな」
B「で、陵辱モノなんやろ? 最高やん」
――この時点での俺らの評価はボロクソだった。

某月某日、SNOWの発売日が決定する。
B「とりあえず予約しといてや。夏コミ行くついでにそっちで買うわ」
俺「OK、予約した。予約券に書いた名前、激しく漢字間違ってるがな
――とりあえずまだネタにして面白がっていられる程度には、俺らの中でSNOWというゲームの存在感はあった。

某月某日、SNOWの延期が発表される。
A「なんかもうどうでもよくなってきたわ
俺「激しく同意
――そして一気に萎え。

某月某日、SNOWの発売日が正式に決定する。
A「んで、買うの?」
俺「いやー、買わんやろ
――本気でそのときはそう思っていた。

某月某日、SNOWの空箱を目の当たりにする。
俺「これがSNOWの箱か……なんか欲しくなってきた
B「なんやったら予約しとくけど?」
俺「用事もあるしついでやから自分で予約しとくわ」
A「モエかんは?」
俺「どうせ特攻するんやったら地雷やろ?」
――結局、メッセで予約することに。

某月某日、AよりSNOWのOPの曲の感想を聞く。
A「なんかな、激しく機動戦艦ナデシコなんや」
俺「なんやねん、それ」
A「どんな機動戦艦が出てくるんか楽しみや」
俺「桜花ちゃうん?
――激しく納得された。

そして一月末日。
最後までネタのまま終わり、消えていくはずだったこのソフトが、ついに発売された――



皆様、お久しぶりです。約一年ぶりのゲームレビューになります、BBBです。
前回のONE2では確か、今年最大の問題作とまで言われた、と前置きを加えていたような気がしますが、今回はそんなものではありません。
問題作どころか、決して発売されてはならないはずだったとまで言われているほどの今回のレビューの対象、スタジオメビウスの「SNOW」。
冒頭のような衝動的としか呼びようのない購入動機に促されるがままに手に入れたこの作品について、今回は語ってみたいと思います。

前回のONE2を書き終えてからこっち、正直あまりこの手の「ストーリー中心」の作品をプレイしていませんでした。
やってもエロ中心ゲーだったり、ネタゲーだったり。ストーリー系もやることはやりましたが、いまひとつレビューを書くにまでは至りませんでした。
なのでこのSNOWは、俺にとっては久々にTYPE-RXでレビューするに相応しいゲームなのです。

このゲーム、果たしてプレイ中に、どのくらいの人が投げ出したでしょう。
俺の身近にも一人います。
彼曰く、「もう耐えられねぇ」だそうで。
何の予備知識もない方がここまで読んだ段階では、恐らく「あぁ、クソゲーだったのか」と判断されることでしょう。
確かにその通りです。
舞台背景からキャラの性格、さらにはストーリーまで、KeyのKANONやAirを見事にパクっています。
どれだけ好意的に解釈しても、鍵ゲーの同人としか言えません。
後にも書きますが、このゲームは最初、五人のヒロイン中、二人までしかクリアできません。
そのうちの一人がメインヒロインの澄乃で、投げだした人の大半はこいつの性格や電波的な言動に嫌気が差して脱落していきます。
例えば、

「えぅ〜、えぅ〜」
「あんまんは命の源だよっ」


等々。
俺も最初やったときは、頭を抱えました。

例えるならこんな感じ↓

           ,:'      ,:'  /  |i |    ',',  )
        /   /   ,:' ,ィ   ノ' |  i  ', ',', <   ワイの8800円返してくれ!!!
      _...._,'     ,' ,' ,'/>' /}/|  ,l.  | |ヾ、.)
     /r⌒'!    ! l ,'_/イ∨〃ノ ノ,'  ,'.,'   `Y⌒!  /⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
    { / (l     ', ||i  -,;;=|!ン‐"ノ _ノ/      |/   / //  /)
'i     ',ヽ、,' ,'   .∧!` ヲ".,ィフヾノ'彡‐'ソ,:'     ,:r-、   / // //)       ∧/|_..イ
|ィ彡/ノ゙ -! i  i ,'  ゙、 : {;:' /´ ´  ノ"    , '´ ̄`>=く././//        ノ     >
、ヽ、´〃   | |  | |     ヽ  {           r' ィ # } }:r)‐' '_フ   _,,,:::='''゙゙`Vvヽ\|
 '、 ヽ.     ',|!. | ! ,. '´} ̄ヽ   >        ':---.、 '__ノー'-<  _,;;''''
  |', ',,:'⌒ヽ,゙!! |!|'.:.:.:.:.j  ノ''´           `ー==イ | /  `ヾ:'
  ||', }!    ||',_|.!、::;:- ' ´ 、               ヽ.j_/ヽ、   |
  ! !l |  ,.‐''⌒-'''⌒)    | \                |  ∧  |
 .l | l .l /      <     |  \__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人_
. //∧' |       〈''!  <
///_ !-'´       /'`) <     だからネタとはいえこんなクソゲーに手をだしちゃダメっていったでしょ!!
-''´       _ノ- ' ) <

やってて鬱でしょうがなかったです。
日常のギャグシーンはそれなりに面白いと思ったのが救いでしたが、後半になるとだらだらと佳境への伏線を小出しにしつつ、退屈なテキストを読ませられるだけ。
投げた人は、正解だと思います。
ただ、そこに「ある意味」の一言を加えさせていただきたい。
そう、ある意味このゲームは、KANON以上の奇跡を起こしているのです。
それについては、コンプリート後レビューにて。

○システム
いつものビジュアルアーツ系のシステム……ではありませんね。
使いやすいのかにくいのか、微妙なラインです。
今までビジュアルアーツ系ではふんだんに雪を降らせたり、派手な画面効果が使われているゲームが無かったので、それに伴ってメビウスの方でオリジナルのシステムを組み上げざるを得なかったのでしょうが。
雪が降ると途端にCPU占有率が100%に達し、他のアプリの動作が著しく重くなります。
気になると言えばその程度でしょうか。幸い、プレイ中にフリーズするということはありませんでしたし。
やってて思ったことは、ハイパースレッディングのP4が欲しいなぁと。

○音楽
通常のBGMは並以上。されど、良質にはあらず。
聴いていて思うことは、やはり鍵系作品を意識しているなぁ、と。
その点を評価から差し引いても、ボーカル曲は流石I've。素晴らしいの一言です。
ボーカル曲は全部で四曲あるのですが、そのうちの三曲をI'veが担当しています。
んで残りの一曲は……ぶっちゃけると、Airでいうところの「青空」のようなものなのですが。
もしサントラが発売されれば、とりあえず買っておこうと思えるレベルです、俺的には。
CD版とDVD版では音質が違うので、音にこだわる人は迷わずDVD版を買いましょう。

○CG
ここだけは誰もが鍵より上だと評価するんじゃないでしょうか(かなり偏見有り)。
丁寧に描き込まれた背景は、その場の空気の匂いまで連想させてくれるほど美麗です。
イベントCGもかなりのもの。確かにこれだけを雑誌などで小出しに見せられていれば、万人が超大作だと勘違いしても仕方ないことかもしれませんね。
最初、みつみdeKANONとか言っていましたが、ずっと見ているうちにそうでもないんじゃないかと思いました。
比較するとすれば、一昔前のみつみ美里さんの絵ですね。
今の彼女の絵と比べてみれば、全然違うじゃねーかと。
どうでもいいですね、すみません。

○シナリオ

           ,:'      ,:'  /  |i |    ',',  ) そんなことあるはずないやろ!! 
        /   /   ,:' ,ィ   ノ' |  i  ', ',', <   ていうかワイの88(略)
      _...._,'     ,' ,' ,'/>' /}/|  ,l.  | |ヾ、.)
     /r⌒'!    ! l ,'_/イ∨〃ノ ノ,'  ,'.,'   `Y⌒!  /⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
    { / (l     ', ||i  -,;;=|!ン‐"ノ _ノ/      |/   / //  /)
'i     ',ヽ、,' ,'   .∧!` ヲ".,ィフヾノ'彡‐'ソ,:'     ,:r-、   / // //)       ∧/|_..イ
|ィ彡/ノ゙ -! i  i ,'  ゙、 : {;:' /´ ´  ノ"    , '´ ̄`>=く././//        ノ     >
、ヽ、´〃   | |  | |     ヽ  {           r' ィ # } }:r)‐' '_フ   _,,,:::='''゙゙`Vvヽ\|
 '、 ヽ.     ',|!. | ! ,. '´} ̄ヽ   >        ':---.、 '__ノー'-<  _,;;''''
  |', ',,:'⌒ヽ,゙!! |!|'.:.:.:.:.j  ノ''´           `ー==イ | /  `ヾ:'
  ||', }!    ||',_|.!、::;:- ' ´ 、               ヽ.j_/ヽ、   |
  ! !l |  ,.‐''⌒-'''⌒)    | \                |  ∧  |
 .l | l .l /      <     |  \__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人_
. //∧' |       〈''!  <
///_ !-'´       /'`) <     やっぱりSNOWは凄くいいゲームだったんだよ!!
-''´       _ノ- ' ) <

一体、何が起こったというのか!?
詳細は、コンプリート後レビューにて。



コンプリート後:レビュー

※もう言うまでもないと思いますが、下記はネタバレ全開の内容なので未プレイ、未コンプのおにいちゃんのハートにチェキ♪
いつも通り、各キャラのシナリオ感想形式です。
今回、妄想が飛び出すかどうかは微妙です。
いつも校正なしでそのまま書いているので、現時点ではなんとも。

○雪月 澄乃
ある意味でSNOWというゲームを一言で表し、諸悪の根元であり、救世主。
数々の電波ワードでプレイヤーを翻弄するのはこの手のぽっと出系萌えゲーにはありがちの展開。
こいつのファーストインパクトでどれだけのプレイヤーが挫折を味わったか。
ですがこのゲーム、ここで投げ出したら負けなんです。
かつて数々のエロゲ作品の中で、憎しみが愛情に変わったキャラが一人でもいたでしょうか。
序盤から中盤、そして主人公がいきなり旅館を継がさせられるという滅茶苦茶なイベントが起こるまで、やってて眠くてしょうがなかったです。
それからクライマックスの、澄乃がいきなりアルツハイマーになり、母親のことや主人公のこと、結婚の約束を交わしたことを忘れる辺りまで中だるみしまくります。
俺もリアルで今は亡き祖母にいわゆるボケが始まり、似たようなことを見てきたこともあってか、若い女の子がこの手の病にかかるというのは精神的にかなりクるものがありました。
その祖母の葬式で、遺骨が俺の同人棚の前に置かれたり、追悼の意味を込めてちんこ音頭をかけたりしたのはいい思い出っつーか俺、死ね。
そんなことはどうでもよくて。
それから主人公がお百度参りをするのですが、その甲斐があってかなくてか、澄乃が正常に戻ります。
いつも通りの楽しい日常に戻り……。
翌日、発注していたウェディングドレスを取りに向かう途中で、澄乃は主人公の背中の上で息を引き取ります。
そこで死ぬんかよ。
お約束と言ってしまえばそれまでなんですが。
熱を出して寝込んで、そんな状態で寒空の下に連れ出したらそら何が起こってもおかしくないわな。
これら一連の澄乃に起きた現象は、後述でのレジェンド編における天罰によるものなのですが、それと照らし合わせてみると澄乃の死因は明らかに矛盾したものであるということが分かります。
もしかすると、主人公が澄乃の処女を奪ったついでに後ろの処女まで奪ってしまったがために頭がおかしくなったのかもしれないですし。
というか、エロシーンは流石メビウスだと思いました。
鏡の前で澄乃にオナニーを要求したり、事の後、「これでしばらくおかずに困らなくて済むな、ぐふふふや、「こいつの秘所を、いつか俺の肉棒で辱めることができるかと思うとたまらなくなってくる」(うろ覚え)など、数々の鬼畜ワードが飛び出します。
貴方は紳一様ですか?
他にも野外での飲尿プレイなど、純愛系泣かせゲーでは今まで有り得なかった怒濤のシチュエーションがあります。
君望のマナマナはひとまずおいとくとして。
そんなひどい目に遭ったら発狂しても仕方ないと思うんです。
つーかこれ、メビウスのゲームだし。
俺、間違ってますか?

○日和川 旭
早い話が、KANONの真琴。
主人公が昔飼っていたうさぎが人間に化けた姿です。
そのせいで先が読めすぎて、かなり適当に進めていましたが、やっぱりこの手のシナリオには弱いです(^-^;
真琴と違う点と言えば、五感が徐々に欠落していくのですが、この過程は見ていてかなり辛かった。
二番煎じなのは分かっていても、それでも主人公を慕い続ける旭の健気さに思わず号泣。
ただ、最後のCGはさすがに蛇足だと思いました。
その一つ前のシーンですっぱり終わらせてしまった方が綺麗だったんじゃないかと。
恐らく全シナリオ中で最もKANONをパクっているのがこのシナリオだと思うのですが、あれよりも結末がはっきりしているため、そういう意味でKANONの評価を濁していた人にはむしろこちらの方が良かったのではないでしょうか。
最後に旭がどうなるのか、克明に描かれていますし。
ただまぁ、なんといいますか。
萌えないシナリオでしたね(爆)。

○レジェンド編(菊花)
Summerキタ━━━━━━(゚∀。)━━━━━━!!!!アヒャ
某大型掲示板で予備知識はあったものの、いざやってみるとそう叫ばざるを得なかったというか。
最初は「やりすぎだろメビウス」と思っていたものの、進めていくうちにだんだんと俺の中で何かが確実に変わっていっていることに気づきました。
SNOWおもしれーじゃねーかと。
とにかく萌えるんです。本編より。
澄乃の前世である龍神その二こと菊花が、同じように「えぅ〜」などの電波ワードを発するにも関わらず、何故か澄乃よりも萌えるんです。
つーか可愛すぎんだよ畜生。
やっぱりこの時代背景で、なおかつ神様というのがポイントなのでしょうか。
可愛い神様に「えぅ〜」などと言われながらがばっ、と抱きつかれたり、神様なのに拗ねたり、うさぎの言葉を理解できたり、同じ電波でも格の違いを見せつけられた気分でした。
そして何よりも。
SNOW最大の萌えキャラが、このレジェンド編にて登場します。
金髪ツインテール黒リボン縛り巫女の鳳仙、現代における芽依子様なのです。
このシナリオをプレイした後、もう一度本編の日常パート、主に芽依子様が絡んでくるシーンを読み返してみましょう。
彼女の言動の真意が理解できるのみならず、主人公をおちょくるところまで非常にハートフルでチャーミングなものに見えてきてしまいます。
ぶっちゃけ、俺は芽依子様の下僕になりたい。
貴女様が食えとおっしゃるなら、ゴキチョコだって喜んで貪りますよ!
手や足も出るが、基本は言葉での怒濤の罵倒責め。
三白眼になるところなんか激萌えですよ。
だって俺、発狂したもん。
なんで芽依子様のシナリオが無いのかと、血の涙を流しながら問い詰めたい。
メビウス理解(わか)ってねーよ!
芽依子様に萌えずして、他の誰に萌えろと?
確かにレジェンド以後の澄乃には一発逆転的に萌えたが、俺たちが望んでいるのはそんなことじゃない!
引き裂かれたのは制服だけじゃないんだ!
まぁメビウスは、家族計画の青葉シナリオでもやって出直してきな、ってこった。

○北里 しぐれ
とまぁ、激しく脱線したところで次のキャラに。
レジェンド編でしぐれの正体が龍神その一であることと同時に、芽依子様が彼女によって不老不死にされた鳳仙であることが判明するわけですが、この時点でSNOWというゲームの大部分のネタがバラされたも同然なのです。
澄乃の病気(天罰)の理由、芽依子様としぐれ、旭の正体、そして桜花……。
しぐれシナリオと桜花シナリオは、このゲームにとっての大きな二つの結末の可能性なのです。
言ってみれば、どちらもトゥルーエンドに相当すると思います。
しぐれシナリオでは、主人公が前世の自分(白桜)となり、レジェンド編でのストーリーを追うことになります。
主人公の滅茶苦茶な行動によってレジェンド編の感動はぶち壊されるのですが、それがまた読んでいてかなり爽快でした。
花火で野党を追い払うシーンは見物です。
このシナリオだけ、ライターのセンスが非常によく浮き彫りにされていると思いました。
はっきり言います。SNOWで一番お気に入りのシナリオです。
現代の主人公と鳳仙との絡みもまた秀逸。この辺りは俺の妄想補完能力によってかなり過大評価されているかもしれませんが気にしません。
作中での主人公のセリフ、「俺はまだこの世界にいたんだ!」というのが、非常に共感できる内容でした。
無事に祭りを終え、龍神たちを天に帰した後のエピソードも見てみたい、そんな気持ちにさせてくれます。
だからこそ、目が覚めた後の主人公の気持ちは痛いほどよく分かりました。
要はこのシナリオ、本来なら菊花と結ばれ天罰が下り、最後には主人公と菊花、二人とも死んでしまうのですが、それらを全て無かったことにしてしまいます。
つまり、歴史の書き換えを起こすのです。
これもレジェンド編の最後に鳳仙が言っていた、うろ覚えだけど、「今ではなく、ここではないどこからか来る誰かがこの永遠の輪廻を断ち切ってくれるだろう」という言葉を、実に反則でご都合主義的な手段で実現したものであると言えます。
だからこそ、このエンディングも俺にとってはトゥルーエンドのひとつなわけです。
……そしてやはりしぐれのエッチシーンもスタジオメビウス、やってくれています。
一発目を終えた後、再び猛ってきたという理由でいきなりアナルを貫きます。
またしても紳一様の降臨です。
事の後、汚れた秘所と肛門を拭いている描写で、「少し茶色いものも混じっていた」という表現を用いているあたりが普通の純愛ゲームと一線を画しています。
俺が妄想する余地なんて一片たりとも残しちゃくれません。
ここまでやられたら妄想で補完なんて野暮ったいことなんてできませんよ。

○若生 桜花
文字通り、SNOW最大の問題児。
発売前は雑誌やHPでの発表で桜花のHシーンが削除されたということが話題になり、中には「桜花のHシーン無いんじゃ買う意味ねーだろヴォケ!」とまで言い出す猛者もいたり。
SNOW自体の発表当時、桜花とHできるのかどうかが期待されていた中、この発表はロリオタ共にとっては衝撃的なものとなりました。
ですがそんなことを言っていられるのもプレイする前だけです。
桜花シナリオをやったら、そんなことは言えなくなります、多分(世の中にはそれでも我が道を貫く神が大勢いらっしゃいますので……)
途中で桜花は雷のショックで混乱し、主人公と澄乃が実の両親であると思い込むのですが、レジェンドをプレイされた方はお分かりになるはずですが、桜花は二人の前世(白桜と菊花)の生まれることなく母胎の中で死んでいった子供なので、それは決して間違いというわけではなく、桜花が望んでいた親子三人の幸せな生活が始まります。
早い話が、桜花は水子の霊というわけなのですけども。
このへんが澄乃シナリオとの違う点で、主人公と澄乃の二人が結ばれる中に、桜花という要因が入り込んでくることが天罰が下されるか否かの大きな分岐点となったのだと思います。
このシナリオ、何故か澄乃がめっちゃ可愛いんです。
まぁ芽依子様には遠く及ばないとしても。
おつむの弱い電波送受信塔でも、娘が絡み、妊娠して母親という立場に立ったとき、どうやら俺にはそれを許容してしまえる何かがあるわけで。
不覚にも、こんな嫁さんが欲しいと思ってしまいました。
まぁ、いずれモニタから出てきてくれると思うんですが。
ぶっちゃけてしまうと、全体的にはあゆ+観鈴的なシナリオなのですが、ここまでSNOWをプレイしてきた人の大半がもうパクリとかどうとかどうでもよくなっているのではないでしょうか。
思い出してみてください、澄乃シナリオを終わらせた直後の心境を。
そして実感してみてください。桜花シナリオを終わらせた今の心境を。
例えるなら、↓こんな感じになっていませんか?


           ,:'      ,:'  /  |i |    ',',  )
        /   /   ,:' ,ィ   ノ' |  i  ', ',', <   正直スマンカッタゆーてるやろ、アホさくら!!
      _...._,'     ,' ,' ,'/>' /}/|  ,l.  | |ヾ、.)
     /r⌒'!    ! l ,'_/イ∨〃ノ ノ,'  ,'.,'   `Y⌒!  /⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
    { / (l     ', ||i  -,;;=|!ン‐"ノ _ノ/      |/   / //  /)
'i     ',ヽ、,' ,'   .∧!` ヲ".,ィフヾノ'彡‐'ソ,:'     ,:r-、   / // //)       ∧/|_..イ
|ィ彡/ノ゙ -! i  i ,'  ゙、 : {;:' /´ ´  ノ"    , '´ ̄`>=く././//        ノ     >
、ヽ、´〃   | |  | |     ヽ  {           r' ィ # } }:r)‐' '_フ   _,,,:::='''゙゙`Vvヽ\|
 '、 ヽ.     ',|!. | ! ,. '´} ̄ヽ   >        ':---.、 '__ノー'-<  _,;;''''
  |', ',,:'⌒ヽ,゙!! |!|'.:.:.:.:.j  ノ''´           `ー==イ | /  `ヾ:'
  ||', }!    ||',_|.!、::;:- ' ´ 、               ヽ.j_/ヽ、   |
  ! !l |  ,.‐''⌒-'''⌒)    | \                |  ∧  |
 .l | l .l /      <     |  \__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人_
. //∧' |       〈''!  <
///_ !-'´       /'`) <     だから言ったでしょ、SNOWはいいゲームだって!!
-''´       _ノ- ' ) <

○総評
まさに奇跡、一発逆転のゲームだと言えます。
プレイ開始時点と終了時点で、全く評価が正反対になるゲームは、過去に一作でもあったでしょうか。
あったとしても、ここまで極端ではなかったと思います。
全く萌えなかったキャラが、いつしか愛へと進化していたというのも、歴代希にみる快挙でしょう。もっとも、個人差はあるでしょうけども。
シナリオ的にいくつか矛盾点や、消化しきれていない部分はやや見受けられるものの、全体を通してみればいやはや驚くほど意外にも良い出来でした。
最初とは打って変わって褒めちぎっていますが、これで終わらせる俺ではありません。
まず第一に、歴代鍵ゲーのパクリ云々の問題。
雑誌等で、「お手本としたゲームがある」と公言してはいるものの、そこには制作者としてのプライドは一切無いわけです。
ラズベリーのインタビューでは、「ちやほやされたいから作ろうと思った」などとわけのわからないコメントを残す始末。
ちやほやされたいなら何故、完全なオリジナリティを追求しなかったのか?
鍵ゲーのパクリであるという時点で、叩かれるということは大前提なはず。
もっとも、パクることが悪いとは言わない。
創作において、他の作品をパクるということはひとつの手法であり、現在までに多く用いられてきた手段だからだ。
今、世の中に溢れているものは全てが混在した知識と使い古された経験の成れの果てであり、いずれも「どこかで見たもの」「何かに似ているもの」ばかりであると言える。
それらは著しくエンターテイナー性に欠けるが、ユーザーの多くは「自分が面白いと思った作品に似たもの」を追い求める傾向にある。
趣味趣向の一貫性もあるのだろうが、それは制作者にも言えることで、「自分が面白いと思った作品のようなものを作りたい」というのを原動力としている作家も多い。
もちろん、両者は露骨なものは好まない。目の肥えたユーザー、経験豊富なプロの作家ほど、その限られた枠の中で自分だけのオリジナリティを追求していくからだ。
パクるにしても、そこには必ず何かの味付けがある。ただ肉を焼くだけではなく、細切れにして他の具を混ぜてやればまったく別物の料理ができあがるように、「似たような作品」でも必ず何かのオリジナリティが無くてはならない。
だがこのSNOWという作品は、その点においてあまりに露骨すぎた。鍵ゲーが牛の肉を使っているならば、自分たちは羊の肉を使おうといった程度の違いでしかない。
正直、プロの作品としてはかなり失格の部類にあたる。
ここで問題にしているのは結果論ではなく、このような作品が堂々と発売され、一部のユーザーに受け入れられてしまった(俺含む)という事実なのである。
俺は結果的に、このゲームを面白いと判断した。
それは、「似ていても面白ければそれでいいや」と思い至ったのが原因なわけだ。
確かにSNOWは面白かった。だけどそれは、オリジナルとなるゲームに類似していることを認めた上での結論なのであって、SNOWというゲームを真っ正面から評価したわけではないからだ。
これは、突き詰めていけば恐ろしいことなのではないだろうか。
つまり、アレンジの蔓延。オリジナリティの不在。
確かにこれまでにもKANONやAirに似た作品は多々あった。それらも突き詰めていくと、根幹にあるものは「影響を受けた作品のアレンジ」であるわけで、KANON以前のONEにしても、従来のアドベンチャーゲームというジャンルの延長線上にあるものでしかない。
完全なるオリジナルなど現代にはもう存在しない。
その事実を改めて認識してしまったことと、このような露骨にパクった作品が発売されてしまったこと。
その二点に、俺は嘆きと恐怖を覚えざるを得ない。
何年か経って俺がまだエロゲユーザーを続けているとして、そのときこの業界はどうなっているのか。
そういう意味でこのゲームは、閉塞した未来の到来を告げる警鐘のようなものなのではないだろうか。
SNOWは、改めてユーザーにそう考えざるを得ないことを余儀なくするための、2003年初頭に打ち込まれた楔であるような気がしてならない。

 
総合 シナリオ グラフィック サウンド 萌え度 芽依子様
80点 90点 95点 87点 70萌 嘗めるより嘗められたい

今回は思ったよりまともなレビューになってしまいました(あかんかったんか)。
次回はマブラヴです。かなり大型なレビューになりそうな予感。